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One of the Biggest Indoor Event in the World !!!
初めてのコミケ C83
2013.12.29-31


 以前、産業見本市の仕事をやっていた時、「日本の大規模な展示会・見本市の一覧表」を作ったことがありました。CEATEC JAPANや東京モーターショー、日本国際工作機械見本市などB to Bのお固い展示会が並ぶ中、異彩を放っていたのが「コミックマーケット」。1日当たりの来場者数は、他と比べ物にならない1日約20万人。当時いた所属ではサブカルも仕事の一部だったため、サブカルがいかに産業としての可能性を秘めているのかを話す時によく引き合いに出していました。
 ところが、実は私、この日本最大級・世界でもおそらく最大級の屋内イベント「コミックマーケット(コミケ)」のことは話に聞くだけで、行ったことがなかったのです。聞こえてくるのは「コミケの日の大垣夜行はみんな大盛り上がりで寝られない」とか「ゆりかもめやりんかい線始発がすさまじい状況になる」とか「何時間も並ばないと入れない」とか、ネガティブ情報ばかり。情報が入り過ぎたがゆえに行くのをためらった部分もありました。特に欲しい同人誌やグッズがない、というのも大きな理由。
 とはいえ、やはり何事も「百聞は一見にしかず」。今年は年越し海外旅行をしないと決めたこともあり、ちょうどいい機会ということで行ってまいりました!40歳にして初めてのコミケ参加です。(1日目と3日目に参加しました。2日目は普通の東京観光をしており、コミケ会場に行っていません。)

※なお、「コミケ会場内は個人を特定できない限り写真撮影を禁止していない」とのことですので、参考・記録として写真を撮影・掲載しています。個人識別は出来ないようにしているつもりですが、何か問題がありましたらご連絡ください。

宿
交通手段
入場
会場
グッズなど
コスプレ
まとめ
おまけ


宿

1日目夜〜3日目朝:アワーズイン阪急(JR大井町駅中央口西側)
 コミケに行くと決めたきっかけの一つが、7月に研修で「サンルート有明」に泊まったこと。「ここだったら気軽にコミケに行けるな」とつい思ってしまったのです。とはいえ、調べてみると、やはりその日のサンルート有明はほぼ満室だったり、とても高かったり。ということで、以前(改築前に)泊ったことのあるアワーズイン阪急に9月上旬、予約を入れました。大井町にはりんかい線が通っており、会場の東京ビックサイトに行きやすいのです。オールシングル、いつでも1泊5,500円というのも魅力でした。
 泊まってみたところ、案の定、コミケ参加者比率が非常に高かった気がします。持ち物やらエレベーター内の会話が完全に「コミケ仕様」。31日のチェックアウト時(早朝)には宅急便の臨時受付も用意されていたりとホテル側も分かっている様子。コミケに行くのにはベターチョイスなホテルだなと実感しました。
 ちなみに、このホテルのちょっと裏手にはJR西日本系列の「ヴィアイン東京大井町」もあり、なぜか関西系の鉄道会社が大井町で熱いバトルを繰り広げております…。既に擬人化されてそうだな(^_^;)
アワーズイン阪急前信号機 29日の夕陽 2期棟工事中
大井町駅からは徒歩1分程度。この信号の部分だけ屋外を歩くことになります。 私は19階に泊まったので、窓から東京の景色が一望。なかなか素敵。 隣に2期棟を作っているようなので、今後さらに客室数は増える予定です。


交通手段

1日目(行き):12時ごろ東京駅→直行バス(都バス/臨時急行バス)
1日目(帰り):15時ごろ国際展示場駅→りんかい線

3日目(行き):9時ごろ新木場駅→りんかい線
3日目(帰り):14時ごろ有明客船ターミナル→海上バス
 今回はいろんな公共交通機関を試してみようということで、いろいろ使ってみました。メインの交通機関(四天王と呼ばれているようです)の中では「ゆりかもめ」だけを使う機会がありませんでしたが、総合すると、やはり「りんかい線」が最も基本となる輸送手段なのでしょう。通勤用電車の輸送力はすごいなと。また、東京駅発の臨時急行バス(直行バス)もダイレクトに東京ビックサイト1階まで入り込めるという点で初心者にはかなり有用に感じられました(ただ、あまりにも真下に着き過ぎて全体像が把握できない危険性も)。海上バスは、そもそも始発が10時ですし、1時間あたり2本しかないので、「東京観光がてらのんびりとコミケでも見てみるか」的な人にのみ向いているような気がします。レインボーブリッジが綺麗に見えますしね。
 個人的な感想ですが、四天王の項目別評価を簡単にまとめてみました。
  輸送力 速達性 混雑度 山手線最寄駅までの運賃 車窓 駅の場所 結論
りんかい線 ○(大崎まで320円) × バランスの良い基幹大量輸送機関
ゆりかもめ × △(新橋まで370円) 昔からの足だが輸送力不足が心配
直通バス ◎(東京まで200円) ビックサイトの真下まで入るのが楽
海上バス × × △(浜松町(日の出)まで400円) 東京観光がてらの船旅をどうぞ
戦士たちの輸送 痛ポスターが迎えてくれた みんなひとりぼっち
直行バスは結構満員。座って行くなら東18に乗るという手もありそうな気が。 国際展示場駅の広告は全てアニメ・ゲーム関係。否応なしに気分が高まる? 海上バス、ほとんどが一人で乗っているという姿は観光船として珍しいかも。


入場

1日目:12時15分ごろエントランスプラザ着→列に並ぶ→手荷物検査→12時25分ごろ入場

3日目:9時00分ごろ国際展示場着→どんどんと誘導に従って歩く→9時20分ごろ東待機列(駐車場)到着→10時20分ごろ列移動開始→10時40分ごろ東地区から入場
 コミケ初心者が一番気になるのが、入場の問題かと思います。公式には「徹夜禁止」なので、始発が動き出すと一斉に沢山の人々がやってきて10時の会場まで約5時間を寒風(or灼熱)の中、屋外で過ごす…。そんなに入場すること自体が大変なイベントなのかと思ってしまいます。
 ということで、初めてのコミケとなった1日目は東京駅周辺で早めの昼食を済ませてからの来場に。東京駅八重洲口からの直行バスでビックサイトの真下に到着し、スタッフさんの誘導に従って移動。メインエントランスの行列に並びました。「昼間に来ればほとんど並ぶことはないと聞いていたけど、やはりこの程度は並ぶのだな」と思ったのですが、これは実は手荷物検査のための行列。検査自体は一瞬で終わり、大体の所要時間は10分と言ったところでした。
 まあ、これではコミケの気分(?)を味わえないということで、3日目は開場前に行ってみることに。と言ってもゆるい感じで開場1時間前(午前9時)に国際展示場駅到着。さっそくスタッフさんの誘導に沿って東ゾーンの一番奥にある簡易舗装の駐車場へ。9時20分ごろから待機列に加わりました。海から強い風が吹き付ける中、何も遮るものはありません。こんな中で何時間も待ち続けるというのは本当に過酷だなあと。(そんな中、コミケスタッフさんの面白い名言は一服の清涼剤だったり。)10時に開場の拍手があり「あとどれぐらい待つんだろうか」と思っていたものの、20分ごろには列の移動が開始。延々と人の波の中で流れていくと、結局40分ごろに会場に入ることができました。1時間強の待ち時間でもかなり厳しかったですが、これぐらい苦労をした方がコミケの気分を味わえるかもしれません。
手荷物検査 東京ゲートブリッジを背に 東会場までの遥かなる道筋
昼間は手荷物検査があるため、それで若干渋滞していました。 東待機列の向こうには東京ゲートブリッジが…誰も気にしていないでしょうが。 大量の人が一斉に動きますが、慣れているのかスムーズに流れます。


会場

1日目:東4・5・6地区→東1・2・3地区→西1・2地区→西企業

3日目:東1・2・3地区→東4・5・6地区→西1・2地区→西企業
 会場内は思ったより空いている印象。というよりも、参加者の皆さんは実に慣れていて、戸惑うことなくサークルの間を動き回っている印象でした。とりわけ午前中は「宝の地図(=お目当てのサークルの場所を地図に落としたもの。コミケカタログに白地図が添付されています)」片手に、ひたすらお目当てのサークルを巡回していくという感じのようです。もちろん午後になるとだいぶ落ち着いて来て、好きなジャンルのサークルをちょっと覗いてみるといった余裕が生まれてくるようです。(ただし、その時には新刊とか限定品とかは売り切れていることが多いようです。)
 1日目と3日目を見た限りでは、どの館が混んでいるというよりも、やはりジャンルによってかなり来場者の数が違うという印象を受けました。1日目に主に回った鉄道や旅行、廃墟、建築などのジャンルは過疎地域でゆっくり見ることができました。一方、1日目の企業ブースや3日目の男性向け創作部門(ここが一番コアみたいです)は団子状態で前に進めないほど。冬だというのに、汗臭さすら感じました(苦笑)。
1日目・西企業 3日目・東地区 3日目・西地区
[1日目・西企業]企業ブースは1日目の方が混んでいた気がします。 [3日目・東地区]11時15分なので、まだ皆さん目が血走っている印象です。 [3日目・西地区]人気サークルの最後尾に付いた人は自分で看板を上げます。


グッズなど

1日目:紙袋小(300円)

3日目:にぎにぎ(500円)、フランスドック(600円)、Comic Tea(200円)、スポーツタオル(700円)
 今回は雰囲気を味わうことが主目的だったため、お目当てのサークルがありませんでした。覗いてみて気になるものがあったら購入したらいいかなと思ってはいたのですが…それでは素早く動き回る他の人の迷惑にもなるし、なかなかしんどいのが正直なところ。逆に名前を聞いたことのあるサークルはとんでもない行列ができてしまっていたり…同人誌購入という点では準備不足でした。
 ということで、ここでは明らかに同人サークルが作ったのではなさそうなもの(コミケの公式グッズなど)をとり上げます。この中でとても役立ったのが「にぎにぎ」で、荷物を運ぶ際に大活躍でした。一見してコミケと分かる柄でないだけに、羽田空港や伊丹空港でも気になりませんでしたし、今後も使えそうです。"Comic Tea"はマンゴー味で、その甘ったるさがいかにもコミケという感じなのでしょうか。あと、フランスドックは600円と若干高めですが、コミケ(東京ビックサイト?)の名物料理の一つとあってそこそこにおいしく、また片手でも食べられるという手軽さも良かったです。
紙袋小 企業ブースでもらったもの1日目 にぎにぎ
「らいねん」行きのバスを待つ人々。真ん中の人は明らかにコミケ帰り。 1日目の企業ブースでもらったチラシ類など。絵柄がどれも一緒な気も…。 荷物運びに便利な「にぎにぎ」。意外と早く売り切れてしまうみたいです。
フランスドック Comic Teaとスポーツタオル 企業ブースでもらったもの3日目
フランスドッグは東ガレリア2階で販売。コミケの名物料理のひとつ? エントランスホールで販売している東京ビックサイトサービスの限定グッズたち。 3日目の企業ブースでもらったものなど。真ん中はコスプレ撮影の注意書き。


コスプレ

1日目:エントランスプラザなど

3日目:西館4階屋外展示場など
 コミケについて「同人誌・企業ブース・コスプレの3分野に分けることができる」と書いたWebページを読んだことがありますが、理念や歴史などを無視すると、確かにこの3分割は分かりやすいと思います。ということでコスプレの話題など。
 今回からコスプレの規制が大幅に緩和され、コスプレ撮影できる場所が大幅に広がったそうです。とはいえ私は前回までを知らないので何ともいえないのですが、確かにコスプレは割と自由なんだな〜という感じは受けました。コスプレ姿での売り子さんも多いし、スタッフさんの中にもコスプレ姿の方が多かったですしね。同人誌を扱う専門店が増えたり、通販が一般的になったり、さらにはダウンロード販売ができてきたりしても、この「コスプレ」という晴れの姿でイベントに参加するということは絶対に現場でないとできません。そういう意味ではコスプレが盛り上がることは当然とも言えますし、むしろ望ましい方向性なのかもしれません。
 ただ、個人的には何のコスプレなのか分からない方が大半…エヴァンゲリオンぐらいなら分かるのですけど。まあ、時事ネタもあったり、自宅警備員のようなネットネタもあったりで、このあたりはアニメに詳しくない私でも結構楽しめました。
エヴァンゲリオン 人気コスプレーヤー 自宅警備員
さすがに分かるエヴァ。女性陣4名もかわいいですが、メカが凄い! 人気コスプレーヤーさんの周りにはカメラの列が。これは癖になるだろうな…。 自宅警備隊はどこでも大人気。撮影のためにさまざまな「状況」を作ってくれます。


まとめ

個人的な感想など

●理念と楽しむことと
 今年のコミケは、「黒バス問題」という大きな問題がありました(公式見解)。これはコミックマーケットの理念を揺るがしかねない、大きな問題であったと思います。その是非については立場上控えさせてもらいますが、もはやコミケは理念だけでは立ち行かない(多少理念を曲げてでも「継続開催」のために立ちふるまわざるを得ない)世界に入りつつあるのかなとも思いました。
 と書いて調べてみたのですが、実はコミケの理念って最近のカタログにはきっちりとは書かれていないのですね。12年前のカタログにはあったようですが。理念と理想を持って開催なり運営なりをやってきた先駆者たちと、それを楽しむだけのニューカマーでは思いが違ってしかるべきですし、それはどんな運動団体にも当てはまることなのですけど、コミケの場合は(少なくともカタログを見ている限り)かなり理念的なところが大きいだけに、より矛盾が明確になってきているのかなとも思いました。

●企業ブースは別世界?
 また会場を2日間回って思ったのは、企業ブースはだいぶ参加者も雰囲気も違うなあと。机半分の同人誌販売とは規模もお金の掛け方も違うし仕方ないのですが、コミケ3分野のうち「同人誌」と「コスプレ」はそこそこ親和性が強いだけに、「企業ブース」の異質感がつい目についてしまうのです。徹夜してしか手に入らない限定グッズもむしろ企業ブース側に多いようで、なんとなく飢餓感をあおり、ひいてはそれが全体の運営に対する大きな支障になっているような気さえしてしまいます。とりわけ1日目の企業ブースの雰囲気は若干怖いものすらありました。
 企業というわけではないのですが、もう一つちょっとなあと思ったのは献血で、「リリカルなのは」の限定ポスターをもらうために120分待ちとかでした。さっそくヤフオクで数万円で取引されているようですが、なんとなく売血的ななにかを感じてしまいます。確かに年末の血液が不足する時期に640リットルもの血液を確保できたことは非常に意味があることなのですが、必要量を確保するためには手段を選ばないというのはなんだかなぁと感じてしまいました。

●個人的には準備不足だった気も
 とまあ、相変わらずいろいろと考えていたのですが、個人的にはやはり準備不足感が否めませんでした。1日目午後の旅行・鉄道などの分野は空いていたこともありじっくりと見ることができたのですが、3日目午前の男性向けやボーカロイド系は正直ゆっくりと見て回る雰囲気ではありませんでした。また、音楽系のサークルは実際に聞いてみるのが困難なため、ほぼ買えませんでした。午前中に突入する際には、めぼしいサークルを事前にちゃんとリサーチしておいて、さくっと回っていくというのが必要なのかなと。
 ちなみに、コミケットのカタログはなかなか良く出来ており、戻ってから見てみると、結構いろんなヒントや参考事項が散りばめられています。ただ、実際に行ってみないとなかなか想像しにくいのも事実。カタログを理解できないにしてもざっと読んでおいて、戻ってから再度読むと、また新たな発見や知識が身につく気もします。そう言う意味ではこのC83は私にとっての壮大な下見であったとも言えます。まあ、灼熱のC84にいくかどうかは正直分かりませんが…。

●拍手をいつまでも
 コミケは基本的に迷子放送をしないことになっているのですが、今回1日目に76歳のおばあさんが館内放送で呼び出されるという珍事がありました。で、しばらく経った後「先ほどの方が見つかりました」と放送がありました。すると、しばらくして東4・5・6地区の各所からぱらぱらと拍手が起こり始め、最終的には広いホール全体に広がって行ったのです。それぞれはバラバラでも、こうやって一つの場所にいて、同じことを喜び合うことができる場所。これこそがコミケの素晴らしいところなのかもしれません。
 コミケは午前10時の開場の際と午後4時の閉場の際にも拍手をする風習があるそうです。午前10時はこの祭典を無事に迎えることができた感謝の拍手であり、午後4時はこの祭典が無事に終えられたことへの感謝の拍手なのでしょう。先ほども書いたとおり、自由な表現の場であることを脅かすような出来事は今後ますます増えていくに違いありません。そのような中でも、今後とも末長く午前10時と午後4時の拍手を迎えてほしい。そう感じながら、会場を後にしました。

メインエントランス

おまけ(上京時に行った場所など)



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