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ポーランド:花束とアイスクリームの国へようこそ!
7日目(9月24日) 「Lodyと暗算、いつまでも」

ルート

ホテル◎朝食付き―★ヴァヴェル城(大聖堂・旧王宮・竜の洞窟)―★クラクフ中央市場広場(織物会館、聖マリア教会)―★チャルトリスキ美術館―◎バルで昼食―★バルバカンとフロリアンスカ門―★ガレリア・クラコフスカ―クラクフ中央駅―(ポーランド国鉄・普通)―クラクフ・バリチェ国際空港◎レストランで夕食―飛行機(LOTポーランド航空229便)でウィーンへ

※凡例: ★入場・体験観光 △外観観光 ◎食事

写真など

織物会館改修中 ドミニカン広場にて カチン記念碑
この日は約半日でクラクフ市街を全て見ないといけない。ホテルを出て、改修中の織物会館を横目に一路、ヴァヴェル城へ。結構距離があった。 ドミニカン広場には無数の黒・白・ときどき金の狐の彫刻が。どうも芸術イベントをやっているらしく、中央市場広場にも仮設舞台がセットされていた。 ヴァヴェル城への道すがらにあったカチンの森事件の記念碑。ドイツとソ連という2つの大国の間で、歴史の流れに翻弄されたポーランドの悲劇の一つ。
登城途中 城内中庭 大聖堂
ヴァヴェル城には、正面から登る方法と、裏側のスロープからはいる方法があり、どこかに後者の方が由緒正しいルートと書いてあったので、裏側に回ってみた。 ヴァヴェル城の中庭。自動散水装置で散水中。古い城の中とはいえ、公園のようなのんびりとした空間が広がっていた。ここで9時の開場を待つ。 9時の開場と同時に大聖堂へ入場。歴代の王が次々に増築を重ねたため、こんなに数多くのチャペルがくっついたらしい。内部も王家にふさわしく豪華絢爛。
ジクムント塔から見たクラクフ市街 王宮へ タペストリー
大聖堂内のジクムント塔(鐘突堂)から。いまいちガスがかかっているが、クラクフ旧市街が一望できる。右の塔が聖マリア教会、左が旧市庁舎の塔。 大聖堂を出て王宮へ。入ろうとするとリュックをクロークに預けろと言われたが、団体の子ども達のリュックは良かった様子。このあたりの取り扱いも??? 16世紀フランドル産のタペストリー。タペストリーが大変なのはわかるが、外観は単なるカーペットがなぜそんなに珍重されるのか、いつも今一腑に落ちない。
顔の部屋? 王族のためのチャペル 竜の洞窟へ
天井にいろんな人のお面がかかっている。何に使われた部屋かは忘れたが、もし寝室であったとすれば、毎晩うなされそう。なんでこんな部屋を作ったんだろう。 たしか王族のためのチャペル。一つ一つは大変素晴らしいのだが、ポーランドを1週間ちかく回ってきて、正直、古くて豪華なものに慣れ過ぎてしまった気も…。 ということで、少し毛色を変えて竜の洞窟へ。ヴァヴェル城に竜が棲んでいたという伝説のもとになった洞窟らしい。案内アイコンがなんともかわいらしい。
竜の洞窟1 竜の洞窟2 竜の像
伝説によると、昔、ヴィスワ川に竜が棲んでいて、若い娘をさらっては食べていた。そこで、ある靴職人が、竜をだましてタールと油脂を詰めた羊を食べさせた。 竜はお腹に火がついたようになり、耐えきれずにどんどん水を飲み、ついにはお腹が破裂してしまった。竜を退治した靴職人は王妃と結婚しました、とのこと。 確かにそんな伝説ができてもおかしくないほど、大きく怪しい洞窟であった。そして、竜はクラクフのマスコットとして、今もお土産品として売られているのでありました。
織物会館工事中 織物会館内部 聖マリア教会
1階がお土産物屋街、2階が国立美術館となっている織物会館は、2010年まで工事中。ノルウェーの支援を受けていることが大々的に書かれていた。 南半分は通常どおり、お土産屋さんとして営業中。ここでのお土産としてはポーランド特産の琥珀がメイン、あとは木工品、陶器、衣類など。 クラクフのシンボルともいうべき聖マリア教会。左右の塔が違うのは兄弟でいがみ合った結果という言い伝えがあるらしい。1時間ごとになるラッパでも有名。
国宝の聖壇 バルでお昼
毎正時4回ずつ流されるこのトランペットには、他民族に蹂躙されてきたポーランド人の思いが込められている。800年近く続けてきたというのもすごい。 聖マリア教会のもう一つの自慢が、この国宝ヴィオット・ストゥオシ祭壇。12年の年月をかけて作られたらしい。作者の執念のようなものが、どこか伝わってくる。 広場近くのセルフサービススタイルのバルでポーランド料理の昼食。ジューレックともそろそろお別れかと思うと、感慨深い。ロールキャベツも普通においしかった。
外壁上を歩行中 フロアリンスカ通り バルバカン
もうちょっと時間があったため、フロアリンスカ門とバルバカンにも登ってみることとする。ここでも入場料のほかに写真料をとられてしまう。 クラクフ随一の目抜け通りであるフロアリンスカ通りを、門から撮影。さすがにたくさんの地元民と観光客が集まっている。向こうに見えているのが、聖マリア教会。 ワルシャワにもあったバルバカンだが、この種の円形の防塁はヨーロッパ中に3つしか残っていないと「地球の歩き方」に書いてある。もう1か所はどこなんだろう?
フロアリンスカ門 ラストアイスクリーム バリチェエクスプレス
バルバカンからフロアリンスカ門を撮影してみた。ポーランドでの観光はこれで終わり。あとはガレリアでお土産購入と最後のアイスクリームを食べることとする。 普通よりも1割だけ高い、ちょっとだけ高級なガレリア内のアイスクリームを堪能。やはり美味しかった。ポーランドは料理もアイスクリームも、本当においしい。 空港へは専用列車のバリチェエクスプレスで。シャトルバスに乗り換える必要があるが、それを除けば非常に便利。途中、この旅最初で最後の雨が降ってくる。
クラクフ・バリチェ国際空港 空港内レストランにて ユーロLOTでウィーンへ
クラクフバリチェ国際空港の国際線ターミナル。数年前に改装したらしく、非常にきれいで機能的。表示も大きくて分かりやすく、外国人にも分かりやすい。 時間があったので、早めの夕食を空港で取る。グラーシュとお米、ついとってしまったゼリー。もうズロチの持ち合わせがなく、キャッシュカードで支払い。 LOTポーランド航空も、ATR42-500も初体験。クラクフからウィーンまではたったの50分。さようなら、ポーランド。そしてこんにちわ、ウィーン。


旅のメモから

・いよいよポーランド最後の日。朝から動くぞ。ということで、ヴァヴェル城大聖堂の開館時間(9:00)目がけて出発。
・途中で、聖マリア大聖堂のラッパの音を聞く。約800年前、モンゴルがポーランドに攻め込んできた際、それを市民に知らせるためにラッパが吹きならされた。そのラッパ吹きはモンゴル兵の矢で喉を貫かれて死んだが、それを悼んで今でも毎時ちょうどにトランペットが4回噴きならされるとのこと。中途半端に終わるのは、喉を貫かれたことを示している。実際に毎回、人が吹いているとのことで、なかなか大変な務めだとは思うが、非常に名誉ある仕事だろう。
・ヴァヴェル城に向かうが、意外に人が少ない。まだ早いからかもしれないが。裏側から回り込む方が正しい方向(王の道)らしいので、そちらから回っていったが、結構距離がある。
・大聖堂は歴代のポーランド王が眠っているだけあって、非常に立派。カトリックだが、金色のドームなど、どこかロシア正教の影響もあるような気がするのは気のせいだろうか。見学者は少ないのに、やたら警備員が多い。地下の王の墓地にも入れるが、見学者がほとんどいなかったことから、正直不気味。ちなみに、ああいう大理石などで出来た立派な石棺の場合、中に入っているであろう遺体はどういう状況になっているのであろうか。非常に気になる。
・大聖堂以外のヴァヴェル城各施設のチケットはチケットセンターで買える。窓口の人は英語も堪能。時間があまりなく、正直古いものに食傷気味でもあるので、旧王宮と竜の洞窟に行くことにする。
・旧王宮でみんな写真をとっており、入り口でカメラも注意されなかったので、いくつか撮っていたところ注意される。ワルシャワもそうだったが、このあたりの感覚は正直よく分からない…。王宮自体はたしかに、ワルシャワに比べればずっと本格的だが、正直古いものに慣れ過ぎてしまったのか、いまいち感動できなかった。
・逆に意外と楽しかったのが竜の洞窟。単なる洞窟だが、こんなものが昔からあったのだろうか。伝説多き中世の城にふさわしい。
・いよいよ、ポーランド最後の観光として、クラクフ旧市街へ。街へ戻ると結構日本人を発見。他のポーランドの街ではほとんど見かけなかった日本人の女の子一人旅を良く見かける。しかし、日本人の男の子一人旅というのは非常に少なく、男性一人旅は私のような中年が多い。日本の若い男の子は海外旅行に興味を感じなくなったのであろうか。多少憂慮すべき事態かもしれない。
・聖マリア教会は入場料よりもカメラ持ち込み代金の方が高かった。しかし、ポーランドはカメラ持ち込みに別料金をとるところが多いが、なぜだろう。これまでの海外旅行ではあまり気になったことがないので、他国では例を見ないシステムだと思うのだが。正直、日本人としてはやめてほしいシステムでもある。
・旧市街地をぐるっと回ってよさげなバルで食事。トマトスープは多少辛めだったが、やはり美味しい。ポーランド料理は本当に外れがなかった。これだけ食べにでも、またポーランド再訪したいものである。
・チャルトリスキ美術館は見た目それほど大きく見えないが、内部は結構大きい。そして、特筆すべきはその収集方針の節操のなさ。中世の甲冑からギリシャ彫刻、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画、くさび型文字、果てはミイラまで。とはいえ、ここまで何から何まで集められるというのはある意味立派。関係なさそうなものでも集めてみれば、その中に何か関係性が見えてくる時もある。もちろん、何も見えない時もあるが…。
・バルバカン・フロアリンスカ門に行く。ここでも入場料より写真料の方が高い。写真とらないでおこうかとも思うが、なかなか来れるところでもないし、写真を撮りたくなるのが人情というもの。上手くやられている気がする。
・観光を終え、いよいよ帰る準備。すっかりおなじみになったガレリア内でお土産を買いそろえる。そして、最後のアイスクリームを購入。4.4ズロチ。これを払うのに、5.4ズロチ(5ズロチ+20グロシュ+10グロシュ+5グロシュ×2枚)を渡して、1ズロチのおつりをもらった。実は、ポーランド人はこういう暗算が大好きで、買い物をするとよく「あと、○ズロチない?」などと良く言われる。場合によっては、財布の中を探される場合も。さっと5.4ズロチを出すことができた時、この国にも慣れたなあと改めて実感。
・アイスクリームを食べながら、今回の旅行のタイトルを決めた。「花束とアイスクリームの国へようこそ!」。旅行前に抱いていた若干暗いイメージと全く異なり、この国はむしろ北海道的、大陸的なおおらかさと人の良さ、暖かさがある。それをみんなに伝えたい。
・ポーランドでは再会時に花束を渡す風習があり、空港でも花束を抱えた人がいた。ワルシャワの結婚式でも、新郎新婦に逢う人々はみな花束を持っていた。また、どんな街でも街角に花屋さんがあり、なぜか一本だけを買い求める人もいた。それぐらい、花が生活の中に息づいている。これは、モノが何もなかった共産主義時代からそうであったらしい。本当に心の豊かな人々なんだろうなと思う。
・もちろん、花束にはこの国の歴史に対する追悼の意味もある。「ワルシャワ蜂起記念碑」や「死の壁」に並べられた花束。そして、何も置かれていなかった「集団絞首台」「ヘスの絞首台」。ビルケナウに咲く一輪のアザミの花。
・そして、アイスクリーム(Lody)。老若男女がアイスクリームに群がるというポーランド人の無垢さ無邪気さ。一方、この国のアイスクリームの品質を保証する、酪農や農業のレベルの高さ、そして冷凍物保管という品質管理のレベルとそれを司る高い勤労意識。2ピースで4ズロチはポーランドの物価からいえば決して安くはない。それでもみんなが並んで買い求め、嬉しそうに食べている。こういう暖かい状況がいつまでも続きますように。祈らずにはいられない。
・バリチェエクスプレスで国際空港まで行き、そこからはLOTポーランド航空でウィーンへ。別れを惜しんでか、このポーランドの旅、最初で最後の雨が降ってきた。さようなら、ポーランド。この国にはまたいつか戻ってくる、そんな気がしています。

ポーランド:花束とアイスクリームの国へようこそ! おわり 



今日のお買いもの(1ズロチ≒35円)

・ヴァヴェル城大聖堂 10ズロチ
・ヴァヴェル城宮殿+竜の洞窟 20ズロチ
・ヴァヴェル城内の有料トイレ 1ズロチ
・聖マリア教会入場料+写真料 16ズロチ
・旧市街地のバルで昼食 23ズロチ
・チャルトリスキ美術館 12ズロチ
・バルバカンとフロアリンスカ門+写真料 16ズロチ
・アイスクリーム(2ピース) 4ズロチ
・カルフールでお買いもの 45ズロチ
・クラクフ中央駅→クラクフ・バリチェ国際空港 7ズロチ
・空港でパン 6ズロチ
・空港屋外展望台 2ズロチ
合計 162ズロチ のこり29ズロチ(…のはずだが1ズロチしか残らなかった。記録し忘れ?)
(別途、カードで371ズロチ[お土産(職場・学校・家庭など)・空港での夕食])


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