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僕の舞台技術学校日誌
10月(2009.10.2〜10.31)


21.10.2 合同授業 アイデアの創生〈演習編U〉
 今回は、美術コースと照明コースの合同授業。先月の続き。今回は「場」の持つエネルギーを考える、とのテーマで講義+演習(ゲーム)。
 講義の方ではたまたま前の方に座っていたため、すっかりモデルにされてしまう。まあ、先生も相手がおっさんなのでいじりやすいのであろう。確かに特定の女の子をいじるのは、私でもなかなかしんどいものがある。人の距離だけで演技ができる、机やイスの有無だけで演技の幅が思いっきり広がるというのは、分かっているようで意外と分かっていないこと。「ゲシュタルト心理学」なんていう懐かしい言葉も出てきたりして、私自身にはなかなか有意義な時間であった。
 演習の方は、5センチ×10センチぐらいの画用紙3枚を使って、「部屋」だの「広場」だの「朝と夜」だの「城の外と中」だの「庭」だのを作ってみるというもの。自分自身でどうしようかと考えるのも面白いが、自分では思いつかないようなさまざまなアイデアが同級生から生まれてくるのは非常に楽しい。本当に独創的な人っているなあと思ったりもしたり。
 とはいえ、実はこの先生の話で一番面白かったのは、休憩時間にご自分が美術を担当された芝居のパネルを見せていただいた時。本当に独創的な作りの舞台や、オーソドックスでも多面的に転換するような面白い舞台を作っておられ、その苦労話はなどは非常に興味深かった。ピッコロは学校と言っても半分趣味の部分もあるので、理論や哲学というよりは、現実に即した話の方がみんなに興味を持ってもらえるのかなあと思ったりもしたのでありました。(まあ、それでいいかどうかは考えようですが。)

21.10.3〜4 特別講義 戯曲と舞台空間
 この日誌には具体的な講師名は書かないようにしているのだが、今回は演劇に多少なりとも興味がある人ならば誰もが知っているであろう劇作家の大家の特別講義。教科書にも載っている童話を書いたり、銀河鉄道の夜のアニメ版の脚本を書いたりと、多方面で活躍されており、演劇学校特別講義の目玉ともいえる授業のため、今回は何とか予定をつけて2日間参加してみた。
 1日目は、戯曲の読み方(構造)について。戯曲は単に文学として読むだけではなく、その中にある構造やハード、造形的要素を読み取っていかなければならない。具体的に時間軸や場面、人物がどのように構成されているのかを確認していき、そこから重要人物の構造を読み取るべきであるとのこと。実は舞台技術者はわりとこういう読み方をするのだが(そう読まないと美術プランなんてあり得ないし、誰にどういう明かりを当てるのか、どこで音楽を入れるのか全く決まらない)、確かに役者さんや一般の人は若干違うのかもしれない。ちなみに、お話の中で「階級闘争」「インサイダーとアウトサイダー」「反体制」「妹の力」などという言葉が時々出てきて、それはそれで逆に新鮮な感じもしたのであった。
 2日目はなぜか学生数が激減。それぞれ用事もあったようだが、実はこの日の後半は具体的な演技の指導。出ることのできなかった演劇学校生は非常に残念であった。少なくともあの大家が、ほとんど素人に対してあれだけ細かく、理論的に演技指導をしてくれる機会というのはそうないだろう。そういう意味では指導をしてもらった人は非常にラッキーであったと思うし、私は決して役者ではないものの、大変勉強になった。「舞台には上手から下手にゆるやかな風が流れている」というのは、確かにそうかもしれない。
 実はこの日、男性の出席者が極端に少なかったため、私は技術学校生であるにもかかわらず、読み合わせに参加。まあ、自意識過剰で正義感の強い雑貨屋の亭主という、正直、素でもできそうな役であったため、なんとか流れは崩さずにすんだと思っているのですが…。流石にあの大家の前でご本人の作品を読むというのはなかなかのもの、面接試験以来の緊張感を味わったのでありました。

21.10.6 舞台装置製作実習1
 いよいよこの日から5回の授業で、中間発表会で使う舞台装置を作っていく。この日は1回目ということで、具体的に作るモノの確認と、機械や用具の説明が主。
 今回は中ホール公演ということもあり、また演出家の先生が抽象的な舞台を望まれているということもあり、実際に作るモノはそれほどない。大モノは「椅子にも机にもなるような箱6つ」「役者の出入りにつかうパネル」なので、美術コース生11名を「箱グループ」と「パネルグループ」に分ける。と、私ともう一人の女の子は「総括」ということで、全体の取りまとめ役に。なんとなく想像はできたものの、やっぱりそう来たかといった感じ。とはいえ、結局そうなることは目に見えていたので、ちゃんと公式に言われているほうが楽かもしれない。それほどの木工や美術の技能もないことだし…。
 演出の先生に箱の形状について確認に行ったりしているうちにこの日は終了。実際に作ることもなく、多少拍子抜けの部分もあった。
 と、さくっと帰れるのかと思いきや、このあと中間発表会チラシの検討会。あまりにも何も決まっておらず、結局、もう一人の総括の女の子が全て引き受けることに。タイムリミットは2日後。こっち(技術学校)に振るならもうちょっと早く振ってほしいものだなあと、ちょっとした溝を感じてしまったのでありました。

21.10.8 舞台装置製作実習2
 いわゆる「叩き初日」。来れる人は午後から来ており、授業時間にはすでに箱が1つ、ほぼ完成形でできていた。当初予定よりは軽くなっているし、なかなかの出来。
 「箱グループ」は早速、早く来ていた人々を中心に骨組みの製作。まずは、決まった大きさに木を切って行き、その後、2人1組になって、インパクトドライバーを使いながら組み立てていく。息はばっちり。それなりに苦労しながらも、慣れればインパクトの威力は強力。
 「パネルグループ」は具体的なパネルの仕様を検討。ここで問題になったのが、曲線部分の処理と、7尺という中途半端な幅の処理。結局、3尺+1尺+3尺とべニアを並べて作ることに。舞台というのは「3尺・6尺(≒約1畳)」を基本として作られており、これを超えてしまうと、なかなか処理が難しい。とはいえ、3尺の倍数の世界に7尺のパネルというのは、逆に独特の存在感を与える気もする。このあたりが、素人ならではの良さかなあと若干、自画自賛。ともあれ、ここまでくれば作るしかないのでありました。
 いよいよ本格的に作り出して、みんなの気分も乗ってきたものの、残念ながら次回の製作作業は16日(金)までお預け。というのも、作業場所の奈落は大ホールの真下のため、大ホールで普通の催しが行われている間は当然作業ができない…。そして、14日(水)は芸術文化センターでの授業。ということで、1週間後までお預けとなってしまったのでありました。

21.10.14 兵庫県立芸術文化センター特別授業 演劇における音響プランニング
 昨年度からピッコロ舞台技術学校の授業に取り入れられた兵庫県立芸術文化センターでの授業。ピッコロシアター自体は割とよくメンテナンスがされており、機材の入れ替えなども行われているものの、やはり30年前の建物。4年前にできたばかりの最新鋭のホールにも触れることができるというのは、県立の学校ならでは。
 今回は「演劇における音響プランニング」と題して、ホールで音響の管理を行っている先生の講義。講義と言っても、中ホール貸切、スタッフフルセット付き、さらには役者さんまで用意したうえで実際に音を出してみるという、民間ベースのコストパフォーマンスで考えるととても実現不可能な、超ぜいたくな授業。さらに、実際にコンピューター卓を使っての、学校生の実演も。うちのチームは(全員が卓に触るという方針だったため)若干うまくいかなかったものの、それでも非常に貴重な機会であった。(写真などは、「今日のピッコロ」にありますので、こちらで。)
 と、その後、バラシになったのですが、大分勝手を知りつつあるピッコロと違い、コードの種類も違い、どこに何を持っていったらよいのかもわからず、若干戸惑い気味。さらに、美術コースではまずしない8の字巻きなどもあって四苦八苦。まだまだ応用課題に対応するのはしんどいということを改めて思い知ったのでありました。

21.10.16 舞台装置製作実習3
 この日は来れる人だけで朝9時から作業。私は仕事の引き継ぎの関係で11月まではある程度ひまなため、年休を取って参加。男性2名、女性3名の5名で、箱の色塗りや木材のカット、角落としなどを行った。実際に色が塗られると、実際は真新しい木材なのだが、なんとなく古ぼけた箱のように見えてくるのは不思議。当初思っていたよりもずっと本格的なものができた気がする。
 正規の授業時間には、初めて研究科の通し稽古を見学。今回は転換がないため、音響チームや照明チームに比べると通し稽古を見ておく必要は若干少ない。とはいえ、作った箱の意外な使用方法や出ハケの問題など細かい気になる部分はいろいろと。個人的には、役者の待機場所がどうしても気になったところ。これは、市民演劇の時の経験からかもしれない。まあ、今回は待機場所でうるさくしたり、出る人の通路をふさいでしまったり、幕から見えてしまったり、極端に上がったりするような人はいないとは思うが…。
 箱に意外と手間取っており、なかなかパネルに取り掛かれない。というのものの、パネルチームの1人が非常に詳細な設計図を書いてきてくれており、これにそって作れば何とかなりそう。彼女にこういう才能があるというのは正直1学期では分からなかったところ。
 この日は授業終了後に講師の先生を交えて飲み会へ。そこで話していたのだが「今年は11人もいるが、11人誰もキャラがかぶっていない」ということ。確かに皆それぞれ持ち味を持っており、それぞれに得意分野と苦手分野がある模様。先生の指導のもととはいうものの、私自身も皆の能力を最大限生かせるよう、よく人を見ないといけないなあと思ったのでありました。

21.10.21 舞台装置製作実習4
 この日も一部の人は朝9時から作業。私はさすがに仕事を休めず、出張先のインテックス大阪から直接ピッコロシアターへ。通常の授業時間からの参加。
 午前中にケコミ切りと色塗りをしていた模様。さらに今回の最大の難関であるパネルにも若干取り掛かっていた。パネルは美術コース生の創意工夫が生かされた部分でもある。とはいえ、1枚が7尺×12尺(約2.1メートル×3.7メートル)という巨大なもの。無事出来上がる(立ち上がる)と良いのだが…。
 ちなみに、この日、私と女性2人は作業ではなく、中ホールで照明入りの研究科通し稽古を見学。ある意味すごいなあと思ったのが、先週の金曜日に通し稽古を見たときからたった5日間しかたっていないのにかなり上手になっていたところ。演劇学校の人は毎日自主稽古を行っているようであり、本当に大変だと思う。また明かりが入ると大分雰囲気も違い、いよいよ演劇という感じになってきた。
 通し稽古中、音響コースは実際にミキサーを触ってさまざまな操作を行っているし、照明コースの人も明かりの状況や先生の指示を次々に台本に書き込んでいっている。一方、美術コースは多少道具の見え方や人の出ハケなどには注意しているものの、基本的には演劇を流れとして見るぐらいの余裕はある。舞台進行という部分ではそれぐらいの余裕がある方がいいのかもしれないが、コースによっていろいろと違うもんだなあと改めて感じたのでありました。

21.10.22 舞台装置製作実習(追加日)
 この日は授業日程には入っていなかったものの、作業状況が遅れていることから追加で実施。私も年休をいただいて午前9時から参加。いよいよパネルの下地が完成。作業台にべニアを仮打ちしておいた上に寸角で枠を作り、枠ができたところでべニアに鉛筆で縁取り。打ちつけておいたべニアを下から外して正面側に付けるという作業(文章ではよう書きませんので、どんなことか知りたい方は直接聞いてくださいな)。なるほどこんな手法もあるのかと感心。正午には無事パネルが立ち上がり、とりあえずは一安心。うれしかったため、メーリングリストのテストも兼ねて、美術コースのみんなにメールで送ってしまう。
 午後からは、下地に黒色を塗った上で、今度は装飾板の色決め&色塗り。色決めでは結構議論があったものの、どちらかといえば無難な方向に決定。先生に次々にべニアを切り出していただき、どんどん塗っていく。
 この日は午後6時にて終了。連日朝から作業の人は相当疲れてしまった模様。先生も慣れない人々の指導し続けないといけないので、それもしんどい模様。かなり危険度の高い道具も使っているおり、生徒もそれほど大工作業に慣れていないので、疲労は禁物と先生も判断されたのであろう。とはいえ、この日にパネルが立ち上がり、ある程度先が見えたのも事実であり、やってよかったなあと思ったのでありました。

21.10.23 舞台装置製作実習5
 授業日程上は製作実習の最終日。とはいうものの、なかなかまだまだ作業中。コース生を何グループかに分けて作業。
 朝から作業の人々は、結局パネルの装飾板貼りをほぼ完成させてくれていた。なるほど、こうなるのかと改めて感心。1枚目の完成を急ぐとともに、2枚目についても装飾板貼りの作業を開始。いよいよ最後が見えてきた。
 私は、お手伝いに来ていただいている某在阪有名劇団の女優さんと一緒に、ペンキのハケの水洗い作業に従事。いろいろとお話をさせていただく。お互い心理学の出身だと分かったり、互いに役所の仕事に関係があったりと、なかなか楽しい時間を過ごさせていただいた。(あとで劇団HPを見たところ、ほぼ同世代の様子。なるほど話が合うわけです。しかし、女優さんというのはほんと年齢がわからないですね。もっと若いと思っていました…。)
 ペンキのハケを洗った後も、ほんのちょっとだけ装飾板の貼り込みを体験させてもらい、そのあとは掃除や翌日以降中ホールに持っていく物品の確認など。土日は大ホールで公演があるため、奈落に入れないため、いろいろなものを事前に上げておくのである。めんどくさいものの、さすがに奈落の問題だけで大ホールを貸さないわけにもいくまい。
 パネル1枚は完成(こんな感じになりました)、もう1枚も半分以上貼り終えて、この日は終了。本来なら土日で作業したいものの、公演の影響で作業再開できるのは日曜日の午後7時以降。せっかくのってきたのに残念だなあという思いを強くしたのでありました。

21.10.24 仕込み1日目
 夕方までは中ホール貸館のため、作業開始は午後6時から。短い時間ながら、美術コースと照明コースで交代しながら仕込んでいく。
 まずは、美術コースがパンチカーペットの敷き込み。その間に照明コースは客席上のバトンを下して灯体の吊り込み。
 次に、照明コースがパンチの上で舞台上のバトンを下して吊り込み。その間に美術コースは客席側で平台に直接打ち込む馬足の設置方法などを習う。
 その次は、照明コースが2階ギャラリーの吊り込みに入り、美術コースは場ミリと上手側の台組みを終えて、本日の作業は終了。非常に効率よく交代しながらの作業であった。
 いよいよ明日は台組みを全部完成させ、暗幕を吊って劇場を作り上げる作業である。いよいよ本番の始まりという気分なのでありました。

21.10.25 仕込み2日目
 この日は朝から晩まで仕込み。午前中は音響コースが台組み、パンチ切り、ケコミ付け、パネル設置、暗幕吊り込み。午後は1時間だけ暗幕吊り込みの続きを行い、その後は照明コースのシュート作業を見学。
 この日はは昨年度の卒業生で、実は現在は音響コース生であるWさんに手伝っていただく。やはり11名だとどうしても先生の指示待ちになってしまい、非常に効率が悪いため、来てくださった模様。おかげで上手グループと下手グループに分かれて効率よく作業が進んでいく。途中、1寸高さを間違えたまま固めてしまうなどの失敗はあったものの、概して問題なく作業完了。単なる台組みのときにはなかった独特の劇空間の雰囲気が醸し出される。
 照明コースのシュートは実際に俳優モデルを立たせて作業を行っており、顔にちゃんと明かりが当たっているか、途中で暗くなっているところがないかなどの確認を行っていた。実際の劇場面でのシュート作業は、「なるほどこうやって合わせていくのか」と非常に勉強になった。また、脚立に乗って作業をする同級生の姿はなかなか凛凛しいものがあった。2階ギャラリーで作業をするのも多少怖い、高所恐怖症気味の自分にはちょっと厳しいかもしれない。
 夕方からは本科・研究科の人のお手伝いを得て中ホールに客席の設営。人数が多いのは運搬にはありがたいのだが、正直なところ、台組み作業においては人数が多すぎて若干邪魔であった。さらに人数が多すぎるためか、どうしても一人ひとりの意識が低く、「次にどう動くべきか、何が必要なのか」を考えて動く人があまりにも少なかった。先生方やホールの方々も結構いらいらモードであったし、私自身も時々怒りたくなるシーンがあった。こういうとき、技術学校生は本当に真面目に、いろいろと考えて動いてくれるのでありがたい。私は迫り横で警戒に当たっていたのだが、単にモノを運ぶだけでも本科生と技術学校生(照明コース)とは全然態度や雰囲気が違う。たった6カ月なのだが、やはり技術学校生は技術家風になってくるのだなあと、改めて感じたのでありました。

21.10.27 通し稽古・きっかけ合わせ1
 この日もこれる人は午前中から。いよいよパネルを完成させ、中ホールへ。無事移動できるかどうかがこのパネル最大の難関だったのだが、なんとか無事通ったとのこと(その実況が「きょうのピッコロ」に載っています。まさしく大移動だったようです)。夕方私がピッコロに行ったときには、最初からあったかのようにちゃんと納まっていた。作業に参加できなかったのは残念だが、それはまたの機会に。
 改めてみると、確かにけっこうすごいものだなあと改めて実感…。箱を全て濃いめの茶色(「基本色」と呼んでいました)でまとめるとともに、パネルは若干薄め・明るめの色を使っており、それが黒色主体の舞台の中で広がりと存在感を与えている。模型の時はあまり感じなかったが、なかなか素敵な舞台に仕上がった。プラン指導や照明指導の先生のご了解ももらい、セット製作はこれにて一応の打ち止め。若干寂しい気もする。
 この日の授業時間は、演技と音・照明のきっかけ合わせの見学。合わせて舞台裏の役者さんのアテンド。持ってきたペンライトが明るすぎて漏れることを確認。これは自宅でカラーフィルター見本帳を切り取って細工することとする。
 まだまだ本番まで時間はあるし、新しいこと・知らないことも待ってはいるのだろうが、今日は美術コースとして、一つの大きな区切り。さまざまな明かりに照らされて、さまざまな表情を見せるセットを見て、これまでのことがいろいろと思い出されたりしたのでありました。

21.10.28 通し稽古・きっかけ合わせ2
 この日は多少遅れて参加。午前中には若干の手直しと奈落の掃除をして頂いていた模様。
 ここまで来ると美術コースがすべきことはほぼなくなるため、2班に分かれて大ホール(研究科)と中ホール(本科)の練習見学。私は遅れてきたので、大ホールで研究科の見学。できれば本科の演技を見たかったところだが、それはみな同じ意見だったようなので、まあ仕方ない…。また機会もあるだろう。
 研究科の通し稽古を見るのは3回目だが、確かに毎回、少しずつレベルが上がっているのがよく分かる。やはり本番というのは一番人間を成長させるのだろう。課題だと思っていたダンスもけっこう決まってきた。なんとか魅せるレベルまでたどりつつあるのかなという感じである。
 この日は終了後、「肉を食べたい」という女の子がいたので「牛角」へ。平日限定の食べ放題で十分にタンパク質を摂取しておいた。残り4日、なんとか乗り切れそうな気分になってきたのでありました。

21.10.29 通し稽古・きっかけ合わせ3(欠席)
 この日は欠席。頑張れば20時過ぎにピッコロへ行けないこともなかったのだが、多少アルコールが入っていたため自粛。
 同級生に送ってもらったメールによると、昼間の時間帯に多少の手直しを行い、授業時間はまた稽古見学だった模様。あと、明日のリハーサルについての打ち合わせが色々とあった模様。(この打ち合わせについてもちゃんとメールを送ってくれました。ありがとう。)
 照明や音響コースであればこの欠席は致命的だが、美術コースとしてはまあ、リカバリー可能かなと考えているところでありました。

21.10.30 通し稽古・リハーサル
 いよいよ本番前日。ずっと前から1日お休みを出しており、朝から参加。というものの、美術コースとしては特段すべきこともなく、研究科の稽古を見たり、転換の段取りを確認する程度。舞台上で手直しできる時間も無くはないのだが、やはりここは照明さんや音響さん優先。どんどんと良くなっていくのがわかる。
 金曜日の午後からの研究科通し稽古にはカメラを持ち込んでパチりぱちりと。ピッコロシアターの方も持ち込んでいたので、あまり目立たないかと思いっきり撮ってしまった。同級生から「撮り過ぎ」と言われたものの、ノーフラッシュ・三脚なしだとどうしてもぶれてしまうため、ある程度数打ちゃ当たる方式で行かざるを得ない。いくつか重要なシーンは撮り逃したものの、大体流れに沿って写真に収めることができた。もちろん、美術コース会心の作であるパネルが目立つシーンを中心に。
 夕方からの通し稽古は事実上、最後のリハーサル(ゲネプロが公開のため)。本科のときには研究科が、研究科のときには本科がそれぞれ見学。実は本科の作品を見たのはこれが最初で最後。ということで、一言ずつ感想を残しておこう。

がらがら:オープニングのマスター、おいしすぎ。ただ、その重圧に押しつぶされることなく、きちんと飄々とした演技をしていたのは、さすが。あとは、ミカも場の雰囲気を作る演技が光った。訴えたいテーマのはっきりした、小品にふさわしい作品。
交差するトランク:一人ひとりが、もっと個性を明確にした、ぶっ飛んだ演技でもよかったのかなと思ったりも。とはいえ、経験者が少なく、メンバー変更などもあった中、なんとか見られる作品にまで育て上げたのは立派。コメディーはやはり難しい。
Smile again:前作とは打って変わって感動系。この作品は、やはりちるみちゃん。特にラストシーンの演技が素晴らしく、うるっと来た人も多かった模様。彼女を支える他の3名の役者も、みな巧者ぞろい。本科としてはレベル高すぎ、若干反則かも?
手紙:高校演劇ノリの元気な作品。7人それぞれが抱えているものが見えてこなかったのが残念。ただ、話の流れに乗ったことが、個々人の力量差をカバーした部分も。みんなで作り上げたという雰囲気にあふれており、さわやかな気分を残してくれる。

 本科の後は、研究科の最終リハーサル。本科の人々にとっては、これが最初で最後の研究科作品の鑑賞になった模様。私自身は研究科作品を何回か見ているのだが、実はこの回は非常に出来が良かった。途中途中のシーンで、パシッとした緊迫感が流れていた。最後の方のシーンではすすり泣く声も…。本科の人々にとってもいい刺激になったのではないかと思う。
 さて、泣いても笑っても、残すは公開ゲネと本番2回。というものの、美術コースは特にすることも無く、若干モティベーションが下がり気味。まあ、本番になれば少しは戻りますかねと思いつつ、ピリ辛ラーメン+中ライスというメタボセットを食べて帰ったのでありました。

21.10.31 公開ゲネプロ・本番1回目
 本番。とはいえ、美術コースは転換ぐらいしかすることがなく、さらに男子楽屋にはモニターもないため本番の雰囲気すら見れない。正直、ひまひまな1日であった。そもそも道具や美術というのはそういうものであり、だからこそ舞台監督や役者と兼任ができるのではあるが…。
 この日一番おもしろかったのは、実は男子楽屋を使って本科のダメ出しが行われており、それを聞く機会に恵まれたこと。私自身は役者の経験が皆無なため、そもそも役者のダメ出しというのがどういうものなのか、ほとんど知らなかった。ダメだしのもととなった本科公開ゲネは見ていないものの、「なるほど、ダメ出しというのはこういうものなのか」というのがよくわかった。特に、本科の講師の先生は非常に丁寧で、教育的な教え方をされるようであり、演技を知らない私でも「なるほど」と思うことしきり。役者も一度経験してみたいなあと思ってみたり。とはいえ、今の本科の、良くも悪くも若々しい雰囲気には、多少ついていきにくいものを感じてしまったり。
 本番1回目も全く見ていないものの、聞こえてくる話によると、どうもあまり上手くいかなかった模様。技術コースでも、照明・音響は厳しかった雰囲気。美術コースはすっかりのんびりしており、本番終了後、記念撮影をしようとしていたら、照明の先生から怒られる。まあ、あれだけテンションが違うといろいろと摩擦も生じるのは仕方ない…。
 美術コースの出番は、やはり終了後のバラシのよう。明日は打ち上げもあるし早めに帰りましょうかと、うどんをさくっと食べて帰ったのでありました。

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